ひそかにチェックされている話の聞き方

話すことに比べて、ただ聞くことは簡単だ、多くの人はそう考えています。そのため、人の話を聞くときに、聞き方がおざなりに、適当になってしまいがちです。でも意外と人は、相手の話し方よりも、むしろ聞き方に気付いています。

それは男性よりもコミュニケーションにたけているといわれる女性の方が、気付きやすいのかもしれません。ある女性がこんな話をしていました。

「◯◯さんって話の聞き方とか相づちの仕方がちゃんとしてるよね…そういう所から信頼を得てるんだろうな~人として本当に大好き」

最近は以前よりも、話し方より聞き方が注目されていますが、人々が先の見えない不安にストレスを抱え、話を聞いてもらう大切さを理解し始めているからでしょう。たまたま自分の話した相手が、きちんとした話の聞き方をしていなかった、できなかったために、それでさびしさを感じたり、イヤな思いを経験した人もいるのかもしれません。

私は長年、話を聞く仕事に携わっていますが、まだまだ聞けていません。話を聞くことは難しいのです。相手の話を聞くときは、最初は自分では少しやりすぎに感じられるくらい、うなづきや相づちを多用し、反応するくらいでないと、相手は「聞いてもらえている」と思ってくれないものです。聞き手はその心理的な抵抗感をなくして、自然にできるためのスキルやテクニック、トレーニングが必要になってきます。

それだけでなく、「この人は聴いてくれそう」、「この人なら話しても大丈夫」と相手に感じてもらうために、時間をかけて関係性を築いたり、聞くときの仕草や雰囲気づくりも必要になってきます。そこまでしたときに、聞き手の人間性が現れるので、それを感じとった人が、話の聞き方を通して、先の女性の言葉をかりれば相手に「信頼を得てるんだろうな」とか、「人として本当に大好き」という印象を抱くのです。

自分の想像以上に、人は自分の聞き方を見て、聞いています。こちらが知らず知らずのうちに、聞くことへの意識と姿勢を相手に伝えてしまっているのです。ということは、このことを知って、少し意識して相手の話に耳を傾けるように努めれば、それをできていない人より好感なり、ポイントなり、信頼を得られるというわけですね。