【書評】人の話を聞くだけで、自分の嫌な点や偏見がわかっちゃう!

掲載日:2020年05月07日 Book-Stockさん

http://likereadingbook.blog.fc2.com/blog-entry-1497.html

 

【こんな人にオススメ!!】
●聞き上手になりたい人
●人と関わることが多い人
●コミュニケーション能力を向上させたい人

【得られるもの/見どころ】
聞き上手になるには2つのポイントがある!!
⇒話し上手は聞き上手
 って聞いたことありませんか?
 
 この人と会話すると楽しい
 何でも話せちゃう
 なんて人、身近にいるかもしれません。
 
 そんな人はとにかく聞き上手!

 聞き上手になれば、
 ・人の気持ちを理解することができる
 ・相手を気持ちよくさせることができる
 ・自分の感情の制限もできるようになる
 等メリットがたくさんあります。
 
 そんな聞き上手になるための方法が書かれているのがこの本です。
 
 基本的には2つのことを気を付けましょう!
 それはズバリ

 ・相手の気持ちを受け止める
 ・相手に「聞いている」と伝える

 です!!  
 具体的な方法を知りたい人は本書を読んでみてください。

【個人的感想】
 自分の嫌いな人の話を聞くことで、自分の嫌な部分や偏見が分かる
 っていうのは意外でした

 なんかこの人の話聞くの嫌なんだよな…
 って人いますよね!?

 それは、自分の嫌な部分や偏見が少なからずあるからです!!
 
 例えば私の話。
 私は上司と話をするのが嫌だなって思う時あります。
 改めてなぜか?って考えたときに、
 「自分の不甲斐無さを見せつけられるから」なんですよね。

 上司と会話していると、専門用語が容赦なく飛び出してきます。
 この会社に勤めていたら知っておかなければいけない知識を知りません。

 私が説明しても「わかりづらい」と言われてしまいます。
 社会人に必須の「簡潔に伝える力」が身についていません。

 このように、
 「自分は社会人として努力が足りていないんだ…
  もっと、勉強しなければいけないのに怠けてしまっている…」
 と自分の嫌な部分が見えてきてしまいます。
 「社会人は仕事ができて当然。」という偏見もあります。

 こういったように、
 なぜ嫌か?を考えると
 自分の嫌な部分や偏見がわかるので
 試してみてください!
 
 いろいろ学ぶことが多い本でした。
  

【まとめ】
自分の嫌いな人の話を聞くことで、自分の嫌な部分や偏見が分かる

ひそかにチェックされている話の聞き方

話すことに比べて、ただ聞くことは簡単だ、多くの人はそう考えています。そのため、人の話を聞くときに、聞き方がおざなりに、適当になってしまいがちです。でも意外と人は、相手の話し方よりも、むしろ聞き方に気付いています。

それは男性よりもコミュニケーションにたけているといわれる女性の方が、気付きやすいのかもしれません。ある女性がこんな話をしていました。

「◯◯さんって話の聞き方とか相づちの仕方がちゃんとしてるよね…そういう所から信頼を得てるんだろうな~人として本当に大好き」

最近は以前よりも、話し方より聞き方が注目されていますが、人々が先の見えない不安にストレスを抱え、話を聞いてもらう大切さを理解し始めているからでしょう。たまたま自分の話した相手が、きちんとした話の聞き方をしていなかった、できなかったために、それでさびしさを感じたり、イヤな思いを経験した人もいるのかもしれません。

私は長年、話を聞く仕事に携わっていますが、まだまだ聞けていません。話を聞くことは難しいのです。相手の話を聞くときは、最初は自分では少しやりすぎに感じられるくらい、うなづきや相づちを多用し、反応するくらいでないと、相手は「聞いてもらえている」と思ってくれないものです。聞き手はその心理的な抵抗感をなくして、自然にできるためのスキルやテクニック、トレーニングが必要になってきます。

それだけでなく、「この人は聴いてくれそう」、「この人なら話しても大丈夫」と相手に感じてもらうために、時間をかけて関係性を築いたり、聞くときの仕草や雰囲気づくりも必要になってきます。そこまでしたときに、聞き手の人間性が現れるので、それを感じとった人が、話の聞き方を通して、先の女性の言葉をかりれば相手に「信頼を得てるんだろうな」とか、「人として本当に大好き」という印象を抱くのです。

自分の想像以上に、人は自分の聞き方を見て、聞いています。こちらが知らず知らずのうちに、聞くことへの意識と姿勢を相手に伝えてしまっているのです。ということは、このことを知って、少し意識して相手の話に耳を傾けるように努めれば、それをできていない人より好感なり、ポイントなり、信頼を得られるというわけですね。

【書評】話を聞く術について事細かに研究した書。聞くことに対する悩みが解決されることでしょう。

掲載日:evenbetter さん

https://www.honzuki.jp/book/287624/review/244111/

 

本書ではタイトルのとおり、話の聞き方についてのテクニックが網羅されています。著者の渡辺直樹さんは、通信会社のコールセンターでの電話応対経験や傾聴ボランティアなどで7万人もの話を聞く経験を積んできたとという。また、大学で心理学、臨床心理学、カウンセリングを学び、本書ではそういった観点から、聞くという行為を分析されています。

 書籍化にあたっては、コールセンターで働くオペレーター向けに話の聞き方のポイントをまとめていた資料が元になっているとのことで、場面別にテクニカルな内容にもなっています。

 本書を読んで最も重要だと思ったことは、聞く方法は自分のメンタルコントロールから始まるということです。つまり相手の話の内容や感情につられて自分の感情を動かさないということでしょう。
 例えば、相手から「あんたたちって使えないね!」と言われた場合、私たちには怒りの感情が生じてしまいがちです。しかし、そうではなく、その感情を事実として捉えるとともに、共感してあげることで相手の感情がおさまり、建設的な会話ができるようになります。

 また、渡辺さんは聞き下手にとって悩ましい相づち問題にも答えを提示しています。その名も「はふへほ相づち」と「ペーシング」。前者はゆったりとしたタイミングで「はあい」と相づちを打つことで相手の話をこちらが聞き取りやすいペースに持ち込む技術です。
後者は逆に相手のペースに合わせて相づちを打つことで相手に共感されているという感覚を持たせることができる技術だそう。
 
 他にも、
・「なぜ」「どうして」はなるべく使わない
・話し手そのものに注目すべきという心構えを暗喩した逸話「毒矢を放った者は誰か」

など聞き方の極意から細かなテクニックまで伝授されています。

聞くという一見、受動的な行為を能動的な行為に変えることでより良い会話力を磨くことに本書は役に立つでしょう。

相手が理不尽なことを言っていると思えるとき

 相手が怒っているとき、「どう考えても自分は悪くない」「悪いのは怒っている相手のほうだ」という思いを抱きたくなることはあるものです。

 しかし、いくらそれを論理的に伝えたところで、相手の怒りが収まるとは限りません。

「自分は悪くない」という思いは、相手の主張への反発心を生み、共感モードで聞くことを難しくしてしまうことになるからです。

 たとえばAさんが、パートナーであるBさんから頼まれた用事を果たすことができず、そのことで責められたとします。

 Bさんは、ある期限までにAさんの勤め先から書類を取ってきてもらうようお願いしていました。Aさんはすぐに手続きをしましたが、どうしても期限に間に合いませんでした。 

 それに対して、Bさんは怒ってAさんを非難します。

 その場合、もしできる限りのことをしたにもかかわらず責められているのだとしたら、Aさんとしては納得できない思いが残っても当然です。

 しかしそんなときは、「うなずき」「相づち」「繰り返し」を使った会話に戻し、相手に反応するようにします。

 もちろん、「そんなに大事なことなら、早く言ってくれよ」と感じても無理はありません。しかし、そんな言い訳をしたところで相手の怒りは治らないのです。

 それどころか、状況が余計ひどくなる可能性も。相手は、理路整然と説明されたら納得するというわけではないからです。

 また、自分に非があろうがなかろうが関係ありません。とにかく相手は、間に合わなかったこと、ただその一点に感情的になっているからです。

 だとすれば、納得できなかったとしても、それを受け入れることが大切だということです。

 

【初めから自分は聞いていたか?】

 できることは、自分の考え方をコントロールすることのみ。そのために、私は自分の心のなかに生じる「雑音(ノイズ)」を取り除くことを勧めています。

 冷静になって考えます。そもそもはじめにBさんから、会社の書類を取ってくるようにお願いされたとき、Aさん自身はどんな様子だったでしょうか?

 何日までにほしいという、あまりに差し迫った(ように思われた)期限を言われて、Aさんの心に以下のような雑音が生じて、相手の話を聞けていなかったのではないでしょうか。

(またギリギリになってこういうのを頼んでくるんだから)
(こいつはいつもこうだ。何でも物事を先延ばしにする)
(いまから間に合うわけがない)

 こうした心の声は、部分的にはそのとおりなのかもしれません。

 しかし、Bさんが「なんでも物事を先延ばしにする」というところはAさんの想像にすぎません。「きっと間に合わない」というのも、Aさんの決めつけです。

 つまり、そのような雑音が多すぎると、はじめから会社に事情を説明して急いで手続きしてもらおうという気すらなくなってしまうものだということ。

 

【心の雑音が消えたとき、相手の気持ちが聞こえはじめる】

 Aさんが心の雑音をなくすことができていれば、Bさんからお願いされたときに話をきちんと聞き、スムーズなコミュニケーションを実現できたはず。

A:ああ、あまり時間がないようだね
B:そうなの。私も急いだんだけど、間に合わなくて
A:そうか。うちはすべて本社に申請するから時間がかかるよ
B:そうだよね。時間がかかるよね
A:とりあえずこちらも急いでみるよ
B:ありがとう

 こんなふうに相手の気持ちが少しでも聞こえはじめたなら、自分の対応も、2人のやりとりも、なにより2人の関係が、お互いに信頼できるものに変わっていくはずです。

『1分で信頼を引き寄せる「魔法の聞き方」』(朝日新聞出版)にまとめられた方法論やコツを身につければ、誰もが人の話を上手に聞けるようになります。

 話し手も聴き手もより楽に話を聞けるようになり、お互いを傷つけることなく円滑なコミュニケーションがとれ、より深いところで理解し合えるようになるのです。

 人の話を聞くことに苦手意識をお持ちの方は、参考にしてみてはいかがでしょうか。

怒っている人はまず受け入れる。人の信頼を得る話の聞き方

 私は20年以上にわたり、大手通信会社のコールセンター業務を通じて人の話を聞き続けてきました。そうした経験を積み上げていく過程において、聞き手の「聞き方」の違いによって、会話の流れや話し手の状態が大きく変化することを実感したのです。

 それはまさに「魔法の聞き方」とでも言えるようなもので、つまり、うまい聞き方をすることができれば、まるで魔法を使っているかのような効果を引き出せるということです。

 現代は、「話を聞いてくれる人がいない」「誰にもわかってもらえない」という悩みを抱えている人が多いと言われます。

 誰もが「自分の思いを伝えたい」「自分を表現したい」という気持ちを持っています。人の話にしっかり耳を傾けて聞くことは、そうした人がもともと持っている欲求に応えることになります。

 さらには、その人を受け入れる、その人の存在にOKを出すことにもなるため、その結果として相手はこちらを信頼し、心を開いてくれるのです。

 相手から安心、信頼を得られやすい話の聞き方ができれば、会話がスムーズに進むだけでなく、同僚や上司、友人、パートナー、家族などとの身近な人間関係にもよい影響が現れます。

 聞く力をつければ、まわりに人が集まってくるようになるわけです。

『1分で信頼を引き寄せる「魔法の聞き方」』という本において私は、自らの経験に基づいた「聞き方」のスキルを明らかにしています。

 また、これまで学んできた心理学や心理カウンセリングの知識や技術をも用い、さまざまな「実戦できるテクニック」も盛り込んでいるのです。

 きょうは本書の第3章「ストレスフリーに聞く技術」のなかから、多くの方にとっての悩みであるに違いない「怒っている人の話を聞く」に焦点を当ててみたいと思います。

 

【まず怒りの炎を十分に吐き出させる】

 怒りをぶつけてくる人の話を聞くことは、とても難しく厄介なもの。誰にとっても嫌なものではないでしょうか。

 ところで、怒りが頂点に達している人、感情的な言葉が止まらない人に、絶対にしてはいけないのは「言い訳」をすることです。

 なぜなら言い訳をすると、相手は「責任逃れしている」と受け取ったり、「自分が気分を害したことに対する謝罪はないのか」などと思うものだから。

 そして、「自分の話を遮られた」という不満から、怒りがさらに大きくなるのです。

 怒っている人の話を聞く場合、大切なのは「共感」と「うなずき・相づち・繰り返し」。

 しっかりとしたうなずきと相づちを行い、話のポイントを繰り返しながら、こちらが相手の話を理解しているのだということをわかってもらうわけです。

 そして相手が話しているうちは、余計な言葉がけや質問をしないように気をつけ、気持ちの「主訴」に対して謝罪することが大切。

 なお怒っている人に対しては、「ゆっくり、低い声」でうなずきや相づちを行うことが重要なポイントです。

 怒りの気持ちをぶつけてくる人というのは、怒りをどうにかしたい、この怒りをわかってほしい、と思っています。

 聞く方ももちろん苦しいのですが、話す本人が一番苦しんでいます。

 人の怒りの気持ちの奥には、話を聞いてもらえないこと、自分がないがしろにされたことへの悲しみや失望、焦燥、不安、恐怖など様々な思いが混交しているため、その苦しみから無意識に自分を守ろうとして、つい相手を攻撃してしまうのです。

 そのような人に対して反発モードになって反論すると、「話を聞いてもらえない」と思われ、さらにヒートアップしてしまいます。

 だからこそ、その人の怒りの気持ちに「共感」を示すことが大きな意味を持つのです。

 

【「ねえ、聞いてるの?」と言われたら】

 怒っている人はしばしば、相手に対して「おい、聞いているのか?」「ねえ、聞いてるの?」というような言葉を発するもの。

 しかし、そんなとき「聞いているよ」と答えてもあまり意味がありません。なぜなら話し手の「聞いているのか?」は、単なる質問ではないから。

 そこには、「あなたは聞いていない」と主張する気持ちが込められているのです。つまり「聞いているよ」という返答では、相手はその判断を改めることができないわけです。

 怒っている人には、「そのとき話を聞いてもらえなかった」「いま話を聞いてもらえていない」「わかってほしい」というような気持ちがあるもの。

 そこで、「おい、聞いているのか?」に対しては、「◯◯ということだよね。もちろん聞いているよ」と、相手の話を要約して伝え返すことが有効。

 なぜならそうすれば、相手には「気持ちをわかってもらえた」という感覚を持ってもらえるからです。

 仕事でクレームを受けた場合であれば、相手の主張を正しく理解することに徹するべき。

 たとえば「聞いているのか?」と言われたときに、いちばんよくないのは「はい、聞いております」「聞いておりますので、こちらの話も聞いてください」などと返すこと。

 相手が話しているうちは、
 1. しっかりとしたうなずき、相づち
 2. 事実関係のポイントの繰り返し
 3. クレームを入れたくなる気持ちの表現の繰り返し

 これら3つの態度を心がけ、余計な言葉がけや質問をしないように気をつけ、気持ちの主訴に対して謝罪するようにすべきです。

 相手:コラ、聞いてるのか!
 聞き手:はい◯◯で、◯◯されたということですね。そうでしたか、大変申し訳ありません。

というように。

人の話が聞けないのは「自己肯定感」が低いから “聞き上手”になる秘訣とは?

 仕事でお客さんからのクレームを受ければ、どんなに理不尽な内容であっても真摯に応対する。相手が大事なパートナーや家族であれば、どんなグチでもやさしく耳を傾けてあげるべきだ。

 上記は2つとも、基本的には正しい話です。しかし一方で、頭では理解できても、どうも気持ちがついていかないという人もいるでしょう。

「そもそも相手の言っていることが間違っている。そんな話を聞く必要があるのか?」「こっちは忙しいのに、なぜそこまでして相手の話に時間をさかなければならないのか」そういった思いがつい浮かんでしまい、うまく聞けない。そんな人は、もしかしたら「自分のことを認められていない」という別の問題があるかもしれません。

 相手の話を共感をもって聞き、相手を認めてあげるためには、実は、自分を認めてあげること、つまり「自己肯定」が必要です。

 話を聞くことと、自己肯定感との間にいったい何の関係があるのか? すぐには2つが結びつかないかもしれません。

 私は、聞くことを専門にする仕事に携わって20年以上になります。その間、聞き方や「傾聴」についての数多くの入門書や実用書が絶えず出版され、人の話をうまく聞くためのテクニックや心構えは、繰り返し語られてきたと思います。私もその多くに目を通してきました。

 そういったノウハウを否定するつもりはまったくありません。ですが、そのような本がいくら売れても、周囲に「聞き上手」の人が増えたようには思えないのです。

 それはなぜなのでしょうか。

「聞く」ということには大きく分けて、次の3つの聞き方があると考えます。

1)情報を収集する聞き方
 相手の話を「何が事実なのか」という視点で聞く方法です。状況や事実関係に注目した聞き方で、例えば「いつ、どこで、誰が、何を、どうやって、なぜ」という5W1Hを、情報として捉えることが目的です。ビジネスなどにおいては、欠かせない聞き方です。

(2)自分中心の聞き方
 相手の話を「自分と同じかどうか」という視点で聞く方法です。相手が自分と同じ考えや感覚を持っているか、経験や知識、価値観を持っているか、共通点や相違点は何かという視点で聞いていきます。この聞き方では「同じ」であれば相手と仲良くなれますが、「違う」となれば仲違いしたり、言い争いの原因になります。

(3)相手中心の聞き方
 相手の話を「相手がどうなのか」という視点で聞くやり方です。

 そもそも自分と相手は違う価値観を持っているという前提で話を聞きます。よく似た経験があったとしても、その経験に対する思いが同じとは限りません。何を思い、何を大切にしているのか相手に興味を持ち、自分との違いをわかりあう聞き方で、「寄り添う」「支える」「そのまま理解する」のが特徴です。

「人の話を聞く」というときに、普通に思い浮かべるのは、主に(1)や(2)の聞き方ではないでしょうか。多くの人が日常的に行っている方法です。他方で、(3)の聞き方は、心理カウンセラーなどが行う「傾聴」という方法をベースにしているもので、やや特殊な聞き方だと感じられるかもしれません。

 しかし、私は(3)の方法こそが決定的に重要であると思っています。(3)の相手中心の聞き方を知っているかどうか、そしてそれを身につけているかどうかが、その人が「聞き上手」かどうかを左右します。それだけでなく、その人の人間関係、ひいては人生全体をうまく運ぶのに大きく関わっているのです。

 そして、この(3)の聞き方をマスターするために欠かせないのが、冒頭でお伝えした「自分を認める」ということなのです。

 自分を認められない人というのは、多くの場合、他人に対しても同様に振る舞いがちです。そのことが、相手の話をきちんと聞くことを難しくさせます。

 自分に厳しい人は他人にも厳しく、いろいろなことが許せず、話が聞けなくなります。

 また、やたら相手に細かい人、相手の欠点ばかりが見えて、それを指摘したり、気にしている人は、誰にも好かれないだけでなく、相手と同じくらい自分の短所も欠点も見えている状態がずっと続きますから、それでメンタルに不調をきたしたり、心身の不調をうったえるようになります。

 心理学やカウンセリングの理論では、すべての人間関係は、自分を映し出すただの鏡だと捉えます。もし、相手の話を聞いて嫌な気持ちになったり、イライラしたりするのであれば、そのネガティブな感情は、すべて自分を映しているのです。

 相手の話をきちんと聞ける人というのは、自分自身との関係が良好な人です。

 自分で自分を褒めることができて、ときに「できない自分」も認めることができて、自分で自分を許せる人なら、そういう人は相手の良い部分に目が行きやすく、できていない相手も認められて、相手を許せる人です。私がこれまでに出会った本当の「聞き上手」たちは、この点で共通していました。

 聞き方について教える本がいくら読まれても「聞き上手」が一向に増えないのは、多くの聞き方本やノウハウが、この「自己肯定」という点を軽視しているからではないでしょうか。

 そもそもなぜ相手の話を聞かなければならないのか、そう感じてしまう人は、自分が自分のことをちゃんと認められているかどうか、一度自問してみてください。そして、人の話を聞くときに、相手を認め、同様に自分を認めるよう意識してみてください。

 聞き方についての小手先のテクニックをいくつも学ぶよりも、人とのコミュニケーションが劇的に改善するかもしれません。

ちゃんと聞いているのに、なぜ「ねえ!聞いてるの?」と言われるのか

 パートナーの話をちゃんと聞いていたのに、急に「ねえ!聞いてるの?」と怒られた。仕事で顧客からの要望を真剣に聞いていたのに、「おい、話を聞け!」と怒鳴られた。こんな経験はありませんか。

 それは、実はあなたが無意識に「聞いていません」というメッセージを送り続けているからかもしれません。日常的に頻発する「聞いている、聞いていない」問題のすれ違いについて、お話していきます。

*  *  *
 人はみな無自覚に「聞いていません」というメッセージを送り続けています。

「まさか、自分はそんなことしていない!」と思われるでしょうか?

 しかし、私たちは、コミュニケーションをするときに、常に言葉以外の要素でも相手に多くの情報を伝えています。アイコンタクトや表情、姿勢、声の大きさなどは、ときに言葉よりもはるかに強力な伝達手段になります。

 アメリカの心理学者アルバート・メラビアン氏の調査によれば、会話において相手の言語表現と非言語表現が矛盾している場面では、93%の人が非言語表現の方を重視するとされています。

 例えば、相手が「やめてください」と口で言いながら、一方で顔が笑っている場合、受け手は笑顔の方を重視して「拒否されていない」と判断する傾向があるということです。

 つまり、態度の如何によっては、知らず知らずのうちに、相手に「聞いていない」というメッセージを発してしまうことがありえるのです。

 臨床心理学者の平木典子さんの整理によれば、例えば、次のような態度です。

 ・視線を相手に向けない
 ・腕を組んだり、横を向いたり、ふんぞり返った姿勢をとる
 ・下を向いたり、本や手帳を開いたりする
 ・ほかのことを考えているような顔つき、なま返事をする
 ・相手の話を途中で遮る、自分の話をはじめる

 もしあなたが上司だとして、部下が相談に来たとき、パソコンの画面から目を離さずにキーボードを叩きながら、なま返事をしていませんか。

 また、パートナーに話しかけられたとき、何か作業をしながら返事をすることがないでしょうか。グチを聞かされそうになったときに、話を先取りして自分の考える解決の提案をしていませんか。

 

 こういった何気ないしぐさや動作が、相手にとっては「話を聞いていない」という情報として伝わってしまうのです。そして、それが積もり積もった結果、「あなたはいつも人の話を聞かない」などと言われます。

 つまり、話を聞いているかどうかというのは、相手の発声をちゃんと耳で聞き取っているか、あるいは、情報をしっかり理解しているかということとは違うレベルで判断されているのです。

 これを改善するのは、実は簡単です。逆に「聞いている」というメッセージを送るように意識すればいいのです。そのためには、基本的なことではありますが、うなずきと相づちを、意図的に行うことです。

 まずは「はい」「ええ」「そうですね」といった一般的な相づちを、しっかりとうなずきながら絶やさず行うようにします。

 相手に同意できるときには「おっしゃるとおりです」「同感です」、知らない話を聞いたら「そうなんですか!」「知りませんでした」、興味のある話題には「それは面白いですね」「びっくりです」「さすがですね」などと、多少変化をつけて返すのがいいでしょう。

 聞き手にとっては「少し多すぎるかな」というくらいの頻度でも、「ちょっと大げさかな」と思うような表現でも、話し手にとってはちょうどいいくらいだと思ってください。

 そうすることによって、話し手は無意識のレベルで「聞いてもらえている」と感じ、安心して話し続けることができるのです。

 私は以前、パートナーシップの世界的権威として知られる心理学者ジョン・グレイ博士から、相手の女性が怒っていたり、グチを言ってきたときに男性が女性にかけるべき適切な言葉というものを教えてもらったことがあります。

 それは、「その話、もっと聞かせて」という相づちでした。

 以来、私はずっとこの相づちを心がけています。グチをもっと聞かせて欲しい、なんて不自然じゃないかと思われるかもしれません。しかし、そのおかげか、私は現在まで女性とケンカになることはほとんどありませんでした。

 あまりに疲れているときなど、さすがに話を聞けないと思うときは、相手にその理由を説明してわかってもらいますが、そうでなければ、相手の話には耳を傾けます。その際、こちらから余計なアドバイスなどはせず、ただ「聞いているよ」というメッセージだけを示します。

 実際にはそれで十分なのです。相手は、ただ「話を聞いてもらいたい」だけなのですから。